ミヒャエル・エンデ「モモ」
時間どろぼうとそれを取り戻す女の子の物語。
モモのできる事は
あいての話を聞くことと、時間をかけて待つこと。
あたりまえでいて、みんななかなかできないことですね。
この本のなかで「そうだよね!」と膝を打つ思いをした文章
があります。
それはモモの友達、道路掃除夫ベッポが自分の仕事への哲学を
打ち明ける場面、
「なぁ、モモ、」
と彼はたとえばこんなふうに始めます。
「とっても長い道路を受け持つことがよくあるんだ。
おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、
と思ってしまう。」<中略>
彼はしばらく口をつぐんで、じっと前の方を見ていますが、
やがてまた続けます。
「いちどに道路全部のことを考えてはいかん、わかるな?
つぎの一歩のことだけ、
次の一呼吸のことだけ、
つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。
いつもただつぎのことだけをな。」
またひとやすみして、考え込み、それから、
「するとたのしくなってくる。
これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。
こういうふうにやらにゃだめなんだ。」
自分のペースで、楽しんで仕事と向き合う。
あたりまえのことをあたりまえに。
とても良い読書体験となりました。(^^)