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2021.7.31

「豆と暮らしと」順調に現場が進んでいます。

外壁羽目板の間に押さえ縁をステン釘で施工中、
板材の自然な色のムラが良い感じ。

リビングのR天井の下地が取りつきました。
間接照明の光をやわらかな曲面で拡散させる計画です。

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豆と暮らしと
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2021.7.28

解剖学者、養老孟司さんの本を読んでいるとよく出てくる
「ああすれば、こうなる」
全てをコントロールしようとする脳の中にある”意識”は
「ああすればこうなる」が大好き、なぜなら脳が気持ちいいから。
ところが”自然”である体はそうはいかない。
すぐ出しゃばってくる”意識”などあんまり信用しちゃいけないよ(笑)
というお話。

その”意識”の居場所を「Φ」理論をもとに探ってゆく推理小説のような本。
読み応えがある本ですが「意識」がどこにあるのかは、やっぱり分からない
なぁ・・という感想。
砂漠に水を撒くような話ですが、どんどん突き詰めて行くと「詩」や
「禅」の世界に近づいてゆくのが面白いですね。

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2021.7.26

「豆と暮らしと」杉板の外壁張りが進んでいます。
自然な風合いが心地よいです。

お店の顔となる十字窓。

店舗と住宅を分ける土間スペース、天井をぐっと抑える事で
路地に迷い込んだような親密な空間になりそうです。

リビングの掃き出し窓、空と緑の水平な風景。
ソファに座ってボーっと眺めたいです。

今回も一部R天井、下地の造作材が運ばれてきました。
もう少し大きいとスケボーが出来そうですね。(^^)

今週末にはクライアントさんのご厚意により学生さんを連れて構造見学会。
監督さんや大工さんからも少しお話をしてもらう予定、
学生さん達に実物を見て木造建築の架構を感じる、
建築は実際にはいろいろな人の手でつくられてゆくものだという事を理解する、
そんな体験をして貰えればと思います。

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現場ブログ豆と暮らしと
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2021.7.23

世間はお休み、
そんな時こそ事務所でじっくりと仕事に没頭。
今日は計画中のお店の看板ロゴデザインを
ああでもない、こぉでもないと・・・
ここで一句

看板の ロゴのフォントが 決まらない。

こんな合理性からも経済性からも
離れた密やかなひと時、
それが設計者にとっては至福の時間なのだと思います。

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その他
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2021.7.18

ヴィム・ヴェンダース監督「ベルリン天使の詩」
冒頭に読まれる詩が好きで、たまに観返したくなる映画です。

子供は子供だった頃
腕をブラブラさせ

小川は川になれ 川は河になれ
水たまりは海になれ と思った

子供は子供だった頃
自分が子供とは知らず
すべてに魂があり 魂はひとつと思った

子供は子供だった頃
なにも考えず 癖もなにもなく
あぐらをかいたり とびはねたり
小さな頭に 大きなつむじ
カメラを向けても知らぬ顔・・・

また刑事コロンボで有名なピーターフォークが
本人役で出演しているのですが、まさに元天使という雰囲気があり
素晴らしい役どころ、こんな天使がいたら安心してしまいすね。

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手描きスケッチ映画
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2021.7.14

岡倉天心の「茶の本」
久しぶりに読み返してみました。
建築家フランク・ロイド・ライトがハッとしたと読んだ
というのは道教、老子の思想を紹介した部分でした。

「建物の現実は四方の壁と屋根からなるのではなく、
        その中に住む空間から成るのです。」

西洋に対する東洋の文化、道教から禅への繋がりから
利休の最後まで、薄い冊子ですが底の深い本です。

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2021.7.12

「豆と暮らしと」屋根も葺き終わり、伸びやかな佇まいが立ち上がって来ました。

屋根板金の先端を折り曲げる事で、軒先のラインが切れ味良く走ります。

切妻屋根のシンプルなフレームが綺麗に並びます。
やはり架構が合理的で美しいと現場にリズムが生まれますね。

棟梁が番付された木枠を加工中。
職人さんの後ろ姿と、木材に白墨で書かれた文字、絵になりますね。

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豆と暮らしと
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2021.7.7

ono設計室は様々な方に支えられて本日で7周年を迎えました。
建築士事務所登録の届け出をしたのが7年前の7月7日。
これだけ7が並ぶと今日はなにか良い事がありそうな・・(^^ゞ

こうして振り返ってみると、コツコツと丁寧な仕事ができたなぁと思います。
今後も”建築”を楽しみながら良い仕事を続けて行きます、
引き続き宜しくお願い致します。

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その他
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2021.7.5

フランク・ロイド・ライト「ロビー邸」をトレーススケッチしてみました。
ライトが手掛けたプレイリーハウス(草原の家)の中で最も有名な住宅、
片持ちで水平に伸びて行く深い軒のラインが印象的な住宅です。

そもそもプレイリーハウスとはどんな家?
当時アメリカで建てられていた背の高いクイーン・アン様式、西洋風のヴィラなど
はライトにとってアメリカの大地に相応しくない家でした。
もっと大地と結びついた”単純性”のある住宅を、と設計されたプレイリーハウスは
次のような特徴を持っています。

・無駄な高さを生む屋根裏部屋、地下室を削り、地表と結びつき水平に伸びる。
・暖炉を家の中心に据え、そこから空間が伸びて行く”オープンプラン”。
・居間食堂を2階へ上げてプライバシーを確保。
・外部空間へとつながるスクリーンとしての壁。
・建物と合わせて計画された家具、外構、植栽が生む”一体感”

東西に長い敷地一杯に建てられた「ロビー邸」
トレースしているといろいろな興味深い点が浮かび上がってきます。

・ゾーニング
南側と北側に二つの寄棟屋根が掛けられているのですが、

南側:プレイルーム・リビング・食堂etc    メインの部屋(仕えられる空間)
北側:暖房室・ランドリー・台所・使用人室etc 裏方の部屋 (仕える空間)

という明快なゾーニングとなっています、「ひとつの屋根にひとつの用途」
ルイス・カーン”サーブドスペース” ”サーバントスペース”と同じ概念です。

・構造
この家のメインの構造はなんとレンガ造、
耐火性が欲しいという要望に応えてのものですが、プレイリーハウスの理念、
「外部とつながるスクリーンとしての壁」を実現するためにとても興味深い
構造となっています。
それが「3枚おろし」の構造、
図面に引いた緑の線、外周面よりひとう内側のラインにレンガの太い柱や
厚い壁を設けここで荷重を受けています。
構造的な負担を軽減された外周面は組積造でありながらガラスを多用した
開放的な壁、カーテンウォールのような扱いが可能となっているのです。
またライン上には屋根裏を鉄骨の梁が走っており、ここから屋根をキャンティ
レバーさせる事で水平に走る庇と深い軒の出を実現させています。

・意匠
中心にある暖炉から伸びる垂直な煙突の壁のライン、
そこから対比するように水平に伸びて行く屋根のライン、
立面図をトレースしていると軒先から、窓割り、基壇や笠木の一直線に伸びてゆく
バンド、これでもかというほど水平のラインが強調されているのが分かります。

また二つの屋根を平行に配置する事でどうしても生まれてしまう”谷”の部分、
苦し紛れに雨水逃げの開口を空けていたり、
庇を突き出すために屋根の隅木を角柱からずらして処理していたり、
意匠を実現するために苦心惨憺している設計者の姿も垣間見え
なぜだかほっこりしてしまいます。

正直最初にこの家の平面図を眺めた時は、さほど流動的なプランとも思えず、
ステンドグラスの濃密なデザインなどから、漠然とオールドスタイルの家という
印象でした。
しかし本を読み、図面をトレースをしながら設計手法や思想を探ってゆくと

・あたらしい明快なゾーニング
・カーテンウォールを生みだす新しい構造
・水平・垂直で構成された斬新な意匠

凄いものがグッと詰まった傑作である事が理解できます。
ライトの師匠にあたるサリバンは建物の表層を”単純化”し引き伸ばした建築家、
ライトはそれを空間という次元で達成した天才です。

またちょっといたずら、という訳でもないのですがロビー邸を面の構成として
抽象化してゆくとどうなるのか、簡単なアクソメを描いてみました。
こうしてみると、後のミースやリートフェルトの建築、デ・スティル運動へ
つながってゆく構成の萌芽を見ることができます。
奥の深い住宅ですね。

最後にライトが読んだ時に頬を打たれたような思いがした、という
岡倉天心「茶の本の」一文を

 ひとつの部屋の実体は、
 屋根と壁によって囲み取られた空間にこそ見出されるべきものであって、
 屋根や壁そのものに見出されるべきものではない。

Category
フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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2021.7.3

最近ライトの本や図面を見返しています。
この本ももう10年程前に手に入れた本なのですが、ライトの圧倒的な
デザイン密度に対するアレルギーからなかなかきちんと読めずにいました。
ただ、ライトの基本的な設計にたいする考え方を理解した上で読み返すと、
とても良くまとまった分かりやすい本でした。
またライト手描きのパースや家族への手紙など、袋とじになった付録が
たくさん入っていて、飛び出す絵本を読んでいる時のようなワクワク感
があります。

コルビュジェやミースに比べて近寄りづらい印象のあるライトの建築。
図面の奥にある設計手法、思想などを探ってゆくと、
建築の本質、「種」のようなものを常に意識していた、骨太で普遍的な
建築家であった事を今更ながら再確認することが出来ます。

Category
フランク・ロイド・ライト
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