松山巌さんが多くの人達、特に建築を学び始めた若い人にもっと建築
について考えて欲しい、という思いから書かれた本。
この本の中には何度も
「あなたが好きだ、気持ち良いと感じる場所」
というフレーズが出てきます、そしてその後に
「もっと具体的に考えてみよう・・
明るい場所か、薄暗いところか。
緑の多いところか、荒れ果てたところか。
人の多いところか、人の少ない場所か。
天井が高かったか、低かったか。
音が響いていたか、どのような音か。」
「さあ、ゆっくり思い出して。
さあゆっくり考えて。」
と読者に問いかけます。これは
「俯瞰的な目線で合理性や経済性をもとに建築を考えるのではなく、
まずは一生活者である「あなた」の目線で暮らしの記憶などを思い出
しそこから建築を考えてゆくんだよ」
という松山さんからのメッセージだと感じました。
建築家の中村好文さんもトークショーの質問コーナーで子供から
「おうちを考える時にまずなにから始めるのですか?」
というストレートな質問にたいして
「そうだな~~・・・
まずその人達(クライアントさん)の事をかんがえるかなぁ~
その家族がおうちの中でどんな事を感じながら暮らしていくか
そんな事を想像するかなぁ~」
と答えていました。
建物を設計する上ではもちろん法規、予算、工期など現実的な課題が
ある訳ですが、まずは「ひとの思いに寄り添い、想像してみる」
好文さんらしいなぁ~~と嬉しくなりました。
地に足を付け、生活者の目線で想像力を駆使して建物がどうあるべき
か思いを巡らす。設計者としてゆめゆめ忘れてはならない事ですね!
何度も読み返したいと思うとても良い本でした。