ライトが80代の頃設計した「ジマーマン邸」
ご夫婦2人のための40坪ちょいのこじんまりとした住宅。
「ケニス・ローラン」邸もそうでしたがライト晩年の住宅は
飾り気がなく暮らしへの愛情が詰まっていて素敵です。
プランは1930年代のユーソニアンハウスが原型。
L字プランの「ジェイコブス邸」をパキッと直線に伸ばしたような構成。
玄関からのプライベートスペース、パブリックスペースへの振り分けや
ぐるりと走る回遊動線などとても暮らしやすそうな平面計画。
北側立面の穴あきブロックや、リビングの正方形のスイング窓などあらたな
試みも見られます。
切妻屋根の簡素でのびやかな立面。
落水荘のような大見得を切った建築も凄いですが、暮らすならこちらが良いですかね。(^^ゞ
・軒先を低く(地面より2100mm程)水平に走らせる。
・玄関ドアは壁面のプロポーションに埋もれないよう幅をとって。
・煙突はマッチ棒のように突き立てるのではなく壁として表現するべし。
など”ライトの流儀”で設計されています。
ちなみに「軒先を2100mm」は建築家、伊礼さんが「守谷の家」でやられていた
寸法。ライト、レーモンド、吉村さんと設計のスピリットのようなものが脈々
とつながっているのだなぁ、となんだか嬉しくなりました。
ライトを敬愛し、ライトの誕生日とクリスマスの年2回必ずメープルシロップを
送っていたというジマーマン夫妻。
それに対してライトは次のようなお礼の手紙を書いています。
「親愛なるジマーマン夫妻
メープルシロップは~いつものことながら~誕生日の最も甘い贈り物で、
ジマーマン夫妻の事を思い出させてくれる嬉しい贈り物でした。
ありがとうございます。
敬具 フランク・ロイド・ライト 1953年6月16日」
ライトとクライアントのあいだの深い絆を感じ取る事ができる良い手紙ですね。