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2021.7.14

岡倉天心の「茶の本」
久しぶりに読み返してみました。
建築家フランク・ロイド・ライトがハッとしたと読んだ
というのは道教、老子の思想を紹介した部分でした。

「建物の現実は四方の壁と屋根からなるのではなく、
        その中に住む空間から成るのです。」

西洋に対する東洋の文化、道教から禅への繋がりから
利休の最後まで、薄い冊子ですが底の深い本です。

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2021.7.3

最近ライトの本や図面を見返しています。
この本ももう10年程前に手に入れた本なのですが、ライトの圧倒的な
デザイン密度に対するアレルギーからなかなかきちんと読めずにいました。
ただ、ライトの基本的な設計にたいする考え方を理解した上で読み返すと、
とても良くまとまった分かりやすい本でした。
またライト手描きのパースや家族への手紙など、袋とじになった付録が
たくさん入っていて、飛び出す絵本を読んでいる時のようなワクワク感
があります。

コルビュジェやミースに比べて近寄りづらい印象のあるライトの建築。
図面の奥にある設計手法、思想などを探ってゆくと、
建築の本質、「種」のようなものを常に意識していた、骨太で普遍的な
建築家であった事を今更ながら再確認することが出来ます。

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フランク・ロイド・ライト
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2021.6.12

武田百合子さんの本、「言葉の食卓」
淡々としたどこか日記のような文体なのですが、独自の
感性が行間から滲み出ていてとても魅力的なエッセイです。
平明な言葉のなかにユーモアや、恐怖感のようなものを含んでいて
ぐっと惹きこまれてしまいます。

「上野の桜」というエッセイの中で、
古道具屋で買った時計を手にぶら下げて持ち帰る場面の描写があります。
「地下鉄のりばの近くまできたら、紙包の中の時計が鳴り出した。
 雨上がりのうっすら西陽が残る路上で、
 いやにゆっくりと間を置いて響き渡る。
 男を一人梱包、内緒で持ち運んでいる気分。」

「男を一人梱包、内緒で持ち歩いている気分。」なんて言葉、
なかなか書けるもんじゃないですよね。
たぶんこの本の通り、ユーモアがあり、少し怖く、凄みのある
魅力的な方だったのでしょうね~。

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2021.6.2

向田邦子さんのエッセイ「父の詫び状」
玄関先に置いた伊勢海老の事から話がはじまり、四角いネコの夢、
名画のラストシーン、と連想ゲームのように話が展開してゆきます。
そして玄関先での父とのやり取りの記憶。

バラバラの断片が父との記憶へと収束してゆく構成は圧倒的で
本当にうまいなぁ、映像的だなぁと感じました。
ただあまりにも鮮やかな構成で、少しぶきっちょなところが
あった方が安心する僕にとっては完璧すぎる(^^ゞ文章でした。

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2021.5.28

建築家、中村好文さんがトークイベントの中でふれられていた本。
ジオポンティ著「建築を愛しなさい」。

・建築を評価するために評価の要素として時間を付け加えておきなさい。
 建築をつくるためにあなたの要素に《時間》を付け加えなさい。

・建築。これは成熟による芸術です。天啓の芸術ではありません。
 建築には《神童》は存在しません。建築には一人のモーツァルトもおりません。

・建築は歌うものでなければならないとル・コルビュジェはいっています。
 魅力あるものは私たちを夢中にします。

・建築はたんに構築するというようなことではありません。(中略)
 技術は進歩するがゆえに消失しますし、用途のうちに消費されます。
 建築は芸術であるがゆえに残り、用途を超えるのです。
 

滋養のある言葉がたくさん詰まっています、ゆっくりと咀嚼しながら読んでゆこうと思います。

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2021.5.14

スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワの自邸と庭園を撮り下ろした本。
ページを捲っているだけでも熱帯のむっとした空気感が伝わってきます。

バワの自邸”33rdレーン”ではプランの中に坪庭を散らばせる事で空間に
明暗と奥行きを生みだしていますが、なにか既視感のある風景。

思い出したのは沖縄の「識名園」や京都の観智院の茶室「楓泉観」
坪庭というと京都の町屋などにある洗練された庭が思い浮かびますが、
内と外を繋ぐ緩衝帯としての坪庭のルーツは熱帯の地域なのかなぁ・・
などと想像しながらバワの空間を存分に味わう事ができました。

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2021.4.29

黒磯で「タミゼクロイソ」を営む高橋みどりさんの本。

「料理」と「器」のエッセイですが写真が味わい深く、
ボーっと眺めてしまいます。
本の中にあった いいなぁ、と思う言葉を少し引用

「・・・朝、昼、晩ごはんが中心になっていて、
その支柱があってこそ、
ぶれない自分が形成されているように思う。

オーバーに言えば、この三度の食事を
おいしく食べることの出来る心と体があれば、
たのしく生きて行けるように思える今日この頃。」

この感じとても良く分かります。
仕事をひと段落付けて、家に帰ってお風呂にはいって
おいしい白米をぱくぱく食べると、いい一日だったなぁ・・
と実感します。

ごはんを作り、食べて、仕事をする。そんな毎日を送り、歳を重ねてゆく。

住宅を設計するものとして「暮らし」ってなんだろうといつも気になるのですが
「料理する事」「たべる事」の中には「暮らし」の本質が隠されている、そんな気がしています。

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カフェ・雑貨・お店料理
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2021.3.31

料理研究家、土井善晴さんの本
以前ほぼ日手帳の中に
「料理のコツはうまくつくろうとしない事」というような土井さんの
言葉が書いてあり、読んだ時に膝を打つ思いがしました。
「料理」を「設計」に置き換えると本当にそうだなぁ、と今も思います。

この本の中にも良い言葉が散らばっていました。
「暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地よい場所
に帰ってくる生活のリズムを作ることだと思います。」

「地に足のついた慎ましい生活と贅沢が均衡するところに、日本人の
 幸せはあるように思います。」

「美しい手とは、田舎のおばあちゃん達が集まって、川渕に設けた
 水場で畑から掘ってきた青菜を洗っているような手の事です。」

本を読んでいると「料理」と「住宅設計」はなにか共通したものがあるなぁ
と感じます。
敬愛する建築家、中村好文さん、伊礼さんが料理好きなのもきっとつながり
があるからなのでしょうね。
僕もいそいそと週末の料理を楽しもうと思います。(^^)

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2021.3.17

詩人、菅原克己さんの事を知ったのは高田渡さんの歌
「ブラザー軒」を聴いた時、
その後中村好文さんを特集した住宅建築の巻頭にも
「日常の椅子」という詩が掲載されていました。

誰かがいるようだったが
誰もいない。
ぼくは町から帰って
重たく腰をおろす、
自分の上に腰かけるように。

--テーブルと、
椅子が三つあれば、
それだけで人生が書ける、と
チェホフはいったが、
ぼくの家には椅子が二つしかない。

--もう帰ったの・・・
妻がいつものように手をふきながら
台所から出てくる。
そしてもう一つの椅子に腰をおろし、
それからゆっくり一服つける。

その後本を探していたところ、これまた好きな漫画家
山川直人さんが菅原さんの詩を基にして描いた本があると知り早速手に、
菅原さんの詩と、山川さんの絵が合い、読んでいて心地よい本でした。
「ヒバリとニワトリの鳴くまで」という詩がとても好きです。

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2021.2.17

吉田健一さんのお酒に関するエッセイ集。
吉田さんの文章を読んでいると、暖かい縁側でのたりのたりと
お酒を飲みたいなぁ~という気持ちになります。
この本の「飲む事」というエッセイの中で共感した文章がありました。

「仕事が何かの意味で、ものの秩序を立て直すことならば、
 仕事に一区切り付けて飲むのは、我々が仕事の上で目指している
 秩序の原形を再び我々の周囲に感じて息をつくことではないだろうか。」

仕事をする時には”意識”がもの事を切り分けて、ある”目的”に向けて
再構築して行きます。
お酒を飲むと”意識”が後ろに引き、”目的”も消え、ただあるがままの繋がった
世界を再び身近に感じる事ができるという事でしょう。
あたたかい春の日に花を愛でながらお酒を飲んでいると確かにそんな感覚
におちいりますね。
早くポカポカと陽ざしを感じながらお酒が飲みたくなりました。(^^)

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