吉村順三さん「南台の家」をトレースしました。
度々の増築を経た吉村さんのご自邸、一回で完璧な建築をつくるのではなく
必要な時に必要なぶんを継いでゆく。
現世の住宅を「仮の宿り」とみなす、日本人らしいおおらかな考え方ですね。
とても好きな住宅なので挙げればきりがないのですが2つだけ。
まずはプランがとても好きです、
玄関ホールを中心に少しずつ回転しながら斜めに連なってゆく部屋のつながり。
それぞれの部屋が正方形に近い骨格をもっている事で空間に落ち着きをもたら
しています。
また北西にまとめられた、水廻り、女中室などのサービススペース。
裏方にもしっかりとスペースをとり回遊動線でつないでいます、とても家事
仕事がはかどりそうなプラン(^^)
つぎにリビングの家具配置
暖炉(火)を囲むようにソファ、椅子が置かれ、視線の先には池の水と樹々の緑。
ここでおしゃべりをする時は、互いの顔を直接見るのではなく、暖炉の火や水面
に揺れる光をみながらポツリポツリと語り合う雰囲気になるでしょう。
キャンプで焚火をしている時、海を眺めながら並んで座っている時、妙に素直な
言葉がでる事があります。
吉村さんは「家」もそういった情景と同じように心安らぐ場所であるべき、
そう考えてあたたかい心配りをしながら設計したのだと感じます。
眺めているだけで心地が良くなるプラン、住宅設計は奥が深く楽しいです!