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2021.10.8

川上弘美さんの本。
袖ふれ合った人との縁と、失われてゆくものの物語。

この小説の中のセンセイのような存在は、僕の中にもあるような気がします。

僕をあぐらの中にすっぽりと収めてコーヒー豆を削っていた祖父の手の温もりや、
学生時代に「まぁ飲め。」とビールをついでくれたバイト先の店主の声のあたたかさ。
その存在やその時の空気の匂いのようなものを、今もありありと思う浮かべる事が出来ます。
人との出会いは時が経てば必然的に離れてゆきますが、その時に体に沁み込んだ
記憶はずっと、そっと自分の背中を支えてくれているような気がします。

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