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2021.10.6

ライトの中で一番好きな住宅「ケニス・ローラン邸」
車椅子のクライアントのために設計した住宅で、機能的にも意匠的にも
実に美しく解いています。
全て車椅子の目線から検討され、圧迫感が出ないよう家具の高さは目線
より下になるよう配慮されています。
ライト80歳頃の仕事ですが斬新なプランの裏側に、人の暮らしへの確か
な目線と愛情を感じます。

プランは円弧を重ね合わせて切り取った”フットボール”型プラン。
ガーデンルームからテラスへと繋がる円弧状の回遊動線が日々の
暮らしにどれほどの豊かさを生みだすか。
寝室や暖炉を眺めるソファコーナーはしっかりと壁に守られた
奥まった場所へ。
住む人の心に寄り添った、凛として優しい名作だと思います。

ガーデンルームからカーブした中庭を眺める楽しさ。
すっぽりと包まれたソファコーナーからはパチパチと燃える
炎と、ライトアップされた植栽を楽しむ事が出来ます。

一番良いな~ と感じたのが寝室の化粧台周りの設え。
車椅子の高さを考慮して窓と窓の間の鏡はカウンターまで下り、
本棚もちょうど手に取りやすい高となっています。
見慣れないバランスですがとても美しい壁面のプロポーション。
必要な機能をさりげなく美しく設える老建築家、カッコよすぎます。

Category
フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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