お酒のみの書く旅のエッセイが好きです。
開高健、吉田健一、田中小実昌、金子光晴といった人達の
本はたまに手に取ってお酒を飲みたくなります。
檀一雄さんは「檀流クッキング」「火宅の人」が有名ですが
エッセイもとても魅力的。
「ただ私にあるものはどう処理もしようのない不吉な己の魂だ。
手を出し足を出すまぎらわしようのない妄動の五体である。」
「繰り返すが世界の市場歩きほど、愉快な事はない。
その市場界隈の安食堂で飲んでいるほど楽しい事はない。」
どうしようもない何かを抱えながら、お酒を飲み
旅先の市場で飯を喰らい、人々に巻き込まれ、
自分を溶かすことでやっとホッとする。
人間の崇高さや希望、というよりは人間の弱さや
よるべなさに脚を置いた文章なのですっと胸に入って
くるのだと思います。
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