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2021.6.14

建築家ライトのイメージを素直に書くと、自信家で傲慢、スキャンダルにまみれた
お金持ちしか依頼できない巨匠建築家・・・怒られてしまいますね。(^^ゞ
帝国ホテルに見られるような圧倒的なデザインの密度もライトを近寄り難い存在に
しているのかもしれません。
ただライトの著作「自然の家」を読んだり、ユーソニアンハウスをトレースすると
常に建築の本質を見つめながら設計をしていた事が良く分かります。
僕の好きな、カーンやウッツオンも初期の頃はかなりライトの影響を受けている
し、弟子筋にあたるレーモンド、吉村順三さんもライトの流儀を受け継いで自分
の作品を生みだしています。
スキャンダルや数々の伝説はいったん頭から外して
本を読み、作品を直にトレースする事でライトの凄さを素直に感じる事ができます。

トレースしたのは「ジェイコブス邸」44坪ほどの平屋でライトが中流階級のために
手ごろな価格でコンパクトな戸建てを、と企画したユーソニアンハウスの代表作。
台所を中心として、寝室郡、LDへと空間が伸びて行くL字型の構成。
プランと天井の高さの関係や外観のメリハリのつくり方、つくづくうまいなぁ・・
と感じ入ってしまいます。

プラン、空間の魅力はさることながら経済性・合理性を実現させるために
さまざまな標準化、規格化を試みています。

・平面は2×4フィート600mm×1200mmのコンクリートスラブをグリットとし、
立面は330mmの水平バンドをモジュールとする。
・壁パネルは内外同時に施工が完了し、工場でのプレファブ化も視界に。
・屋根も2×4の規格寸法の垂木材を3段積みとする事で深い軒を生みだす。
・床下に温水パイプを廻した床暖房システム、快適な空間。

コストをコントロールするために規格化を進め、
大切な温度環境はきちんと床暖で確保。
近寄り難い巨匠がぐっと身近になったトレース体験でした。
最後にライトの言葉を
「ユーソニアン住宅は、慎ましやかな家である。
どこにも”大仰な”ところのない、住むための場所である。」

Category
フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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