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檀 一雄「火宅の人」
2021.1.9

檀さんのエッセイや「檀流クッキング」が好きでたまに手に取って
読むのですが、お正月休みに長編小説「火宅の人」を読んでみました。
本の内容はとても深いものなのですが、合間に出てくる料理や普請
の描写がとても魅力的。

「私はウロウロと、喪家の犬のように、落ち着きなくうろつきまわりながら、
雑多な魚介や、肉や、根菜類、の買い出しがしたいのだ。

七輪をおこし、団扇でバタバタあおいで、自分の食べるものを、自分で酢に
つけ、塩につけ、さまざまに煮炊きしてみたいのだ。
自分の小屋をつくってみたり、こわしてみたりしたいのだ。

そうして、私のまわりにチョロチョロする子供たちをよせ集めて、泣くな
よしよしの、やけくその蛮声をはりあげてみたいのだ。
犬、猫、鶏、家鴨の類を、絶えず私のお尻のうしろあたりに、ざわめかせて
いたいのだ。」

この一文に檀さんの人となりが表れていると思います。
暮らしに対するまなざしに共感するところが多く、確認するように何度も読み
返してしまいました。

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