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差尺 ~寸法の妙~
2020.10.13

家具、テーブルを設計する上で大切な寸法に「差尺」があります。
テーブルの上端の寸法から、椅子の座面上端の寸法を差し引いた
寸法、それが「差尺」となります。

この寸法がうまくいかないと、なんとも居心地の悪い事に・・・
学校の机にちいさな子供がぶら下がるように座っているのを
見た事がありませんか。
「差尺」が大きすぎて腕がコサックダンス状態に(笑)
こうならないためにもきちんとした「差尺」の設定が大切です。

職業柄かいろんな場所で席についた時に、
「座り心地がよいなぁ~」「なんか違和感あるな・・」
という時は鞄からひそかにスケール(巻き尺)を取り出して
すぐに寸法チェック、変な奴だと思われてもへっちゃらです。
印象的だったのは銀閣寺近くのお蕎麦屋さん。
机の高さが580㎜で椅子の座面高さが360㎜、かなり低い寸法ですが
差尺が270㎜確保されているからか、妙に心地よかったのを覚えています。

僕の事務所ではテーブルの設計をする時、今までの経験から差尺280㎜
を標準寸法としています。
北欧の椅子などは座面高さ420㎜程度のものが多いのでテーブルの高さは
700㎜となります。
パソコン作業などの事務テーブル → 差尺300㎜(差尺小さいと猫背になる)
コーヒーテーブル  → 差尺250㎜(これくらいの寸法で腕がゆったりする)
など、なにに使うテーブルかで寸法を調整してゆきます。

ただあくまで僕の経験上、この寸法が果たしてどうなのか。
検証するために授業のなかで学生さんに椅子を上下して貰い
それぞれのシチュエーションでちょうど良い「差尺」を計って貰い、
集計、平均値を出してみました。

結果は以下の通り

・パソコン作業など  → 差尺≒290㎜(289㎜)カッコ内平均値
・ダイニングテーブル → 差尺≒280㎜(278㎜)
・おそばを食べる時  → 差尺≒270㎜(272㎜)*お箸と猪口の間に余裕が必要
・コーヒーテーブル  → 差尺≒250㎜(253㎜)

大体想定していた寸法となり自分の標準寸法に自信が持てました。(^^)
昨年の学生さんも同じような寸法、ひとの振る舞いと密接な関係のある「差尺」
計りはじめたらハマる事間違いなし、みなさんもぜひ。

Category
家具手描きスケッチ
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