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「日本文化における時間と空間」 加藤周一
2019.6.21

建築家の内藤廣さんの本の中で紹介されていたので気になって読んでみました。
ヨーロッパや中国などと比較しながら日本の「時間」「空間」に対するとらえ方の
特徴を丁寧にすくい出しています。
一言でいうと日本は「イマ」「ココ」の文化だと書いてあります。

「時間」について
ユダヤ教的時間は「出エジプト記」にみられるように始まり(エジプト)と終わり
(約束の地イスラエル)があります。
直線的に終わりに向かって進む時間で「イマ」は過去と未来との関係で位置付ける
事ができます。

それに対して日本的時間は「四季」にみられるような循環し繰り返すもので
円周として表現する事ができます。過去や未来との関係は弱く「イマ」が生まれ
続ける時間です。

「空間について」
ヨーロッパや中国は日常的に異文化との接触のある外部に開かれた空間で、
内部と外部の境界はあいまいです。

それに対して日本は「ムラ共同体」を中心とする閉じた空間で内部と外部の
境界が明確で意識は内部「ココ」へ向かいます。

そしてこの「イマ」「ココ」の文化が日本建築の特徴に関連しているのでは
と論が進みます。
日本建築の特徴として3つの特徴をあげており、
「奥の概念」 → 閉鎖的な共同体の概念から生まれる
「建て増し主義」「水平面の協調」→ 全体から計画するのではなく「イマ」
(部分)をひたすらに重ねてゆくこと水平方向へ空間生まれ、アシンメトリ
な形態になる。

こうした全体の捉え方は細部でこぼれ落ちることも多く、全てに納得する事は
できませんが思考の踏み台としてはとても有効な考え方と思いました。

普段はなかなか読まないジャンルの本なのでちょっと戸惑いましたが
読んでみるとなかなか楽しい(笑)
勉強は苦手ですが、個人の愉しみとしての読書の時間は好きです。

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