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ピピロッティ・リスト展 ~既存を疑う~
2021.10.13

水戸芸術館で開催中のピピロッティ・リスト展へ脚を運んできました。
本当に久しぶりの美術展、ふらっと美術館へそんな日常が戻りつつある
事が素直に嬉しいです。

ピピロッティの作品はどれも見ごたえがありとても良い時間が過ごせました。
また設計者としては展示の構成がとても興味深いと感じました。
通常の美術展では、垂直な壁面に水平方向へ作品を並べて行き、それを順番に
鑑賞してゆくという構成。
他の鑑賞者と目線の高さが同じになるため、作品と人が重なってしまったり
隣に順番を待つ人がいればいつまでもじっくりと・・という訳にもいきません。

今回の展示構成は、床に並べられたクッションに寝転んだり、ランダムに配置
されたベットに仰向けになって天井のスクリーンを見上げるという斬新なもの。
もちろん美術展で人が寝転んでいる、という風景も面白いのですが
寝転ぶ事で他の鑑賞者と視線が重なる事無く、周囲に人の気配は感じつつも
基本的には一対一で作品と向かい合えるのがとても良かったです。
壁面に作品を飾る、という既存のプログラムを一度疑って「鑑賞者と作品の
良い関係」を最初から問い直す。
建築を設計する時も大切な姿勢です。

コロナ禍の自粛生活、自分の内面を掘り下げる良い面もありましたが、
少しづつまた外と繋がってゆく事ができると良いですね。

Category
美術・展示会
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