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2020.12.28

オーストラリア「シドニーのオペラハウス」の設計者ヨーン・ウッツォンの
初めての住宅作品、ヘルベックの自邸。
奥さんと森の中をテント張って移動しながら敷地を探したり、
図面を描かずに現場で実物大の模型をつくって空間をスタディしたり、
ウッツォンの設計に対する独自性は最初からなのですね。
そういえば柳宗理さんも図面を描かずにいきなり手で石膏をこねてモノの
形を考えていたとか。

森の中に、黄色のレンガブロックの壁、木造の柱、ガラスで構成された伸びやかな
平屋、キッチンと暖炉をコアとしたオープンプランとなっています。
フランクロイド・ライトの横に流れる空間、
ミースの水平に伸びる壁とガラスの構成、
当時ストックホルムに建てられた茶室「瑞暉亭」などの影響を生けつつ、
暮らしやすそうなスカッとした構成になっています。

本に載っているウッツォン家族の暮らしの写真を眺めると、
子供たちがえんがわで寝転んだり、
台所でおかあさんとパンを切ったり、
暖炉の前でお父さんの膝枕で火を眺めたり、
この住宅で育ったら楽しいだろうなぁ・・と楽しい気持ちになりました。
構成の整ったきれいな空間構成と、そこで営まれる豊かな暮らしの風景。
住宅設計の大切なポイントをきちんと押さえた素敵な住宅です。

Category
ヨーン・ウッツォン手描きスケッチ
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