この仕事をしていて一番楽しい時は?と聴かれたら。
「プランの依頼を受け、法務局で公図を取り、いそいそと現場へ向い、
太陽や風の流れを感じ、敷地に立って大まかな構想を練り、事務所に戻り
えいやっ!と紙の上にその構想(妄想(笑))を吐き出し描き込んでいる時。」
そう答えるでしょう、気が付いたら外は真っ暗なんて事はしょっちゅう。(^^ゞ
妄想を実現するためには予算や法律、工期など強敵を倒していかねばなりませんが
机に向かって黙々とスタディを重ねる時間、それは設計者にとって何よりの幸せです。
この仕事をしていて一番楽しい時は?と聴かれたら。
「プランの依頼を受け、法務局で公図を取り、いそいそと現場へ向い、
太陽や風の流れを感じ、敷地に立って大まかな構想を練り、事務所に戻り
えいやっ!と紙の上にその構想(妄想(笑))を吐き出し描き込んでいる時。」
そう答えるでしょう、気が付いたら外は真っ暗なんて事はしょっちゅう。(^^ゞ
妄想を実現するためには予算や法律、工期など強敵を倒していかねばなりませんが
机に向かって黙々とスタディを重ねる時間、それは設計者にとって何よりの幸せです。
誕生日に家族に買ってもらった新版「日本村」
淡路瓦師でもある山田脩二さんの写真集です。
1960~70年代、高度成長期に無秩序に変容して行く都市部の様子、
土臭くうらぶれながらも街の記憶や身の丈の景色を保持する地方の風景。
都市と地方が”断絶”して行く様子をザラリとしたモノクロ写真で切り取って
います。
1970年頃に超高層ビルが立ち上がってゆく都市の風景、
ここで街の”ありかた”のようなものが決定的に変わった事を感じます。
定食屋や居酒屋が並ぶ「街」に打ち込まれた圧倒的な超高層のスケール。
資本というもののパワーを剥き出しにしたマッス・塊は、ゆるやかに繋がっていた
スカイラインや染みついた街の記憶を無視するかのように聳え立っています。
建築家の内藤廣さんがこれからの50年、100年を考える時は50年、100年
の過去を探れ、というような事を書いていましたが、半世紀前の日本の
街の息遣いを感じ取る事のできる貴重な写真集です。
時間が空くとたまに海へドライブ、
天気と共に変化してゆく海の情景が興味深いです。
この字は気温が高かったためか「海霧」が砂浜に漂っていました。
その気になれば30分で海にも山にも行ける、普段意識しませんが
なかなか贅沢な環境です。
昨日は専門学校の卒業式でした。
学生さんに頂いたお花を事務所の花瓶へ。
この学年は明るく素直で、少しうるさいが熱意もあり、
たまに寝てしまうが憎めない、そんな可愛げのある学生さん達でした。
事務所へもどり昔のファイルを開くと彼らが1年生の頃の「手のスケッチ」
の課題答案が出て来ました。
いつも提出された課題用紙に青ペンで良い点や、修正点のコメント描いて
返却していたのを思い出します。
懐かしくなったのでもう一度スケッチコメント。(笑)
K君のスケッチ、すこし線が薄いですね(^^)。
ただ骨や手の構造を捉えようというK君のまじめな姿勢が伝わってきます。
N君のスケッチ、ざっくりと大雑把なようでどこか優しさを感じる線。
おや、N君の人柄と似てますね。
Oさんのスケッチ、良く観察した上で思い切りよく描かれた線。
機転が利くムードメーカだったOさんの人柄、賢さを感じます。
S君のスケッチ、この頃から形を捉えるのがうまかったのですね。
コツコツと努力を重ねる事ができるS君、必ずや立派な設計士になってくれるでしょう。
E君のスケッチ、こちらも濃淡の効いた線で上手にかたちを捉えていますね、
変わった事をせず素直に解いていくE君の率直な姿勢が出ています。
Y君のスケッチ、平面的ながら独特の造形感覚。
最初見た時にベンシャーンっぽいと思いました。
料理好きでもあるY君、いつか僕に得意料理を食べさせて下さい。
Tさんのスケッチ、最初の頃なのでまだ少し遠慮気味かな。
のびやかな線はその後のTさんの縦横無尽なアート系作品につながります、
どんな仕事をされるのか楽しみです。
sさんのスケッチ、太くて濃い思い切りの良い線。
ザクザクと切れ味鋭い造形感覚を持つSさんのセンス感じ取る事ができます。
Iさんのスケッチ、セーターの袖に少し隠れたようなしっかりとした手。
Iさんの控えめながらも芯のある佇まいを思い起こす事ができます。
スケッチの線を眺めていると、その学生さんのキャラクターを感じます。
オリジナリティーなど自然と浮かび上がってくるものなのかもしれませんね。
いろいろと状況が落ち着き、みなさんとお酒を飲める日を楽しみにしております。
図面に向かって設計を詰めている時、鉛筆を走らせながら
「こうした方が使いやすいかなぁ・・」とか
「この机の高さで太ももと抽斗は干渉しないか?」
とか悶々としながらスケールを片手に頭を掻きむしっております。(^^ゞ
引渡し前、なにもなかったように納まっている現場で
「ここはなかなか苦労して考えたなぁ・・・」
などと感慨にふけりながら、工夫した箇所を手で擦っている自分がいます。
今回はそんなふうに検討した”工夫”をいくつか紹介したいと思います。
・アプローチの鎖樋
玄関へつながるアプローチ上は雨が垂れてこないように雨樋を落とします。
普通の竪樋でも良いのですが、玄関横には少し無骨な印象。
そんな時に使うのが”鎖樋エンスイ”
お結び型のシンプルな形、雨の日には雨水がちょろちょろと下に流れていく
様子にほおが緩みます。
雨の日にお出かけする時、すこし気分が明るくなる工夫です。
・車庫横に設けた外部収納
玄関周りはどうしても物が多くなりがち、
そんな時玄関横の車庫に外部収納をつくるととても便利。
車のメンテナンス道具やタイヤ、ゴルフバックやベビーカー
外部土間なので汚れを気にせずガンガン使うことができます。
・キッチンカウンター下のちょこっと収納
キッチンシンクの前に少しカウンターを立ち上げる
(散らかったシンク廻りを直接見せないよう)事が多いのですが、
その下にちょっとした収納スペースをつくります。
調味料や計量カップ、普段使いのマグカップなど気軽に置く事ができ重宝です。
・書斎カウンター下のプリンター、ルンバ置き場
書斎カウンターでパソコンを使う時に、プリンターをどこに置くかという
問題が出て来ます。
カウンター上に置けば使いやすいのですが、普段はカウンター下に棚を
つくりそこに収納すれば机の上がスッキリと。
ただカウンターの高さや棚の奥行など、脚を入れた時にぶつからないよう
慎重に寸法を決める必要があります。
また便利なルンバの定位置もカウンターの下につくりました。
・塀の出入り口
このお家では中庭を区画する塀をつくったのですが、玄関へ廻らなくても
直接外に出れるよう出入り口の小扉を作りました。
閉じている時は塀の一部に見えるよう、ただ開け閉めの時には板金笠木や
扉が塀と干渉しないよう。
建具屋さんと板金屋さんがきれいに収めてくれました。
ひとつの住宅の中のいろんな場所に様々な知恵や工夫が込められています。
”ここにありま~~す”という工夫ではなくさらっと控えめで無口な”工夫”
そんな工夫が暮らしをおおらかに支えてくれます。
ono設計は昨日からお仕事開始。
仕事始めはこれまでのクライアントさんのお家へ新年のご挨拶、
どのお家も引渡しの頃より表情が緩んで周りに馴染んでいる様子でした。
「豆と暮らしと」のクライアントさんはご家族でお庭のお手入れをされていました。
少しづつ手を加え、家を自分の住処へと整えているクライアントさんの立ち姿
なんだか頼もしく感じました。(^^)
さて仕事はじめの時に読み返す詩があります、
この詩を口ずさみながら今年も”仕事”と向き合ってゆこうと思います。
「仕事のうた」 河井寛次郎
仕事が仕事をしています
仕事は毎日元気です
出来ない事のない仕事
どんな事でも仕事はします
いやな事でも進んでします
進む事しか知らない仕事
きけば何でも教えます
たのめば何でもはたします
仕事の一番すきなのは
くるしむ事がすきなのだ
苦しい事は仕事にまかせ
さあさ吾らはたのしみましょう
ono設計室の2021年は今日で仕事おさめ、
新年は1月4日からのスタートになります。
今年は3つの住宅と1件のリノベーション図面の引き渡しをする事ができました。
今見返しても思い入れのある計画ばかり、クライアントさんと丁寧に
しぶとく詰めていった打ち合わせを思い出します。
小野を大きな心で信頼し、協働してくれたクライアントさん。
一緒の船に乗り込み、現場を共にした工務店さん、職人さん。
あらためてありがとうございました!
大好きな仕事に携わる幸せを感じながら、
今後も良い建築をひねり出して行きたいと思います。
みなさん良いお年を~~。
建物のリノベーションの相談を受け、既存建物の調査の準備。
目に見える部分は良いのですが、壁や床に隠された構造材がどうなって
いるのか正確に把握する事はできません。
ただある程度経験を積んだ建築家であれば外観とプランを眺めていると
あら不思議、隠されている骨組みがほわりほわりと図面上に浮かび上がって来ます。
まるで名探偵ホームズがちょっとした仕草などで依頼者の年齢や職業
を当ててしまうように。(^^)
外観を眺めると大体のプランや骨組みが分かってしまう建築士、
嬉しいような少しあやしい人のような・・・(笑)
明日はこの”透視”の答え合わせ、さてさて高得点がとれると良いのですが。
朝散歩をする公園、木の手摺の補修工事が進んでいます。
痛みの激しい部分をパッチワークのように新しい木に交換しながら
なんとか使い続けて行く。
メンテナンスフリーは確かに便利ですが、こうして継ぎ足し継ぎ足し
手入れをしながら物と付き合って行く、そんな姿勢に心を惹かれます。
そこには”物”と”人”の間の信頼や友情のようなものを感じ心が落ち着きます。
風雨にさらされて灰色になり、木目が浮き上がった古い手摺。
じっと黙って地道な暮らしを重ねてきた老人のような安心感、やさしさを感じます。