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2018.8.30

愛媛県内子の街並みに建つ「上芳我家住宅」木蝋産業で栄えた明治27年
に上棟された建物。

街道を歩いてゆくと建物の妻面が目に入って来ます。
3段に並んだ庇、黄色い土壁となまこ壁の組み合わせ、帆掛け船をモチーフにした
棟そびえる鳥ぶすま、堂々たる外観です。

正面に建つと2階に虫籠窓、1階に細い出格子が並ぶシャープな意匠、洗練されて
いますね。

平面構成は手前に店の間、座敷、中庭を挟んで離れ座敷という典型的な町屋プラン
規模が大きいのと、広い炊事場が取り付いているので豪勢な印象を受けます。

敷地全体をみると主屋のまわりに釜場、出店蔵、物置き、離れ部屋、作業場
など広い敷地にいろいろな付属建築物が付随しています。

中庭からバウンドした光が畳表をなめるように広がります、日本人のDNA
に刻まれた美しい陰影の情景。

中庭を囲む縁に設けられた水鉢、こういったなにげない室礼が場の雰囲気を
華やかにします。

最盛期には多くの作業員さんのおなかを満たすために大活躍したであろうレ
ンガのかまど、かわいらしい佇まいです。

きれいな切妻屋根のライン、中庭を通じて座敷に届く柔らかい光のひろがり方、
主屋と離れをつなぐ半屋外の縁側空間の豊かさ、
現代の設計者にとっても掬い上げるべきたくさんのヒントが埋まった住宅でした。


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手描きスケッチその他
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2018.8.27

八幡浜の「日土小学校」の簡素で清廉な空間にこころを打たれ、
設計者の村松さんの思想を知るべく本を読みました。
建築そのものでなく、その建築で人の暮らしのなにを支える事が
できるのかを考え続けた方。
質実で毅然とした文章と、落語のような遊び心に満ちた文章が混
在していて、日土小学校の凛とした佇まいと図書室の茶目っ気の
ある空間はやはり松村さんの人柄があらわれているのだなぁ、と
実感しました。

腰を据えて、骨身を惜しまずまっとうな建築を設計する。

原点を忘れないよう、ときおり読み返すべき本となりました。


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2018.8.25

学生の時にDOCOMOMOJapanでその存在を知り、ずっと見たかった木造の小学校。
最寄りのバス停から徒歩40分ととても行きずらい場所、しかも年に3回しか見学の
機会がない建築ですがやっとこ見ることができました。
建物を見て最初に感じた印象は「軽い」「明るい」、軽い明るいといえば鉄骨
造の特徴と思っていましたが、素材が木なのでさらに軽い印象。
こんな木造建築を1950年代に実現し未だに現役の小学校、これだけで猛暑の中てく
てくと歩いて来た甲斐がありました(笑)

設計は松村正恒さんによるもの、ライトの弟子にあたる土浦亀城さんの事務所で
修行をされた後、八幡浜市役所職員として多くの建物の設計をされた方です。

東校舎が特に魅力的でとても豊かな場所になっていました。
シンプルな架構にも関わらずとても豊かな空間が生まれているのは2つの理由
があると思いました。
ひとつは敷地の素晴らしさ、谷あいの小川の横に佇む校舎には水で冷やされた
涼しい風が吹き込み、窓一面に南側のミカン畑の風景を望む事ができます。
もう一つはスキップフロアを使った豊かな断面構成、廊下と教室の間に光庭を
挟む事で明るい学びの場が生まれています。

階踏み面350㎜蹴上110㎜と子供にも上りやすいおおらかな階段。

モダンな校舎に差し込まれたお伽話にでてきそうな遊び心たっぷりの図書室、
照明は山小屋にありそうなランプ、銀糸張りの天井、竹の輪切りで描かれた星座。
室内に飽きたら川面に張り出したベランダで風に吹かれて本を読む事もできます。
こんな素敵な図書室があったら一日中居てしまいますね(^^)
北欧の建築家アスプルンドの図書館のお話し部屋を思い出しました。

木造で明るく軽い素晴らしくモダンな建物を造り、その中に子供の想像力を刺激
するような物語のある空間をそっと挿し込む。
「日土小学校」かなり好みです!(笑)


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手描きスケッチその他
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2018.8.22

詩人の谷郁雄さんとリリーフランキー(写真)の詩集。
リリーさんのなんでもない日常を切り取った写真と,
谷さんのこれまた日常の言葉で綴った詩がとても相性が良い。

少し涼しくなってきた夕暮れ時に珈琲を片手に読みたい本です!


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2018.8.18

夏休みは愛媛へ建築旅行へ出掛けて来ました。
最初の建築は松山の「伊丹十三記念館」中村好文さんが設計された建物です。

建物はマッシブな形態で窓も少ないのでシャープな印象になりそうですが、
どことなく可愛らしくユーモアのある外観、やはり好文さんのお人柄が出て
いますね!

展示室へはいると伊丹さんが「やあ!」と出迎えてくれます、抽斗を引くと
楽し気なイラストがあらわれたり、ベルトコンベアのようなイラストロール
があったり遊び心が満載です。

一番お気に入りの場所は中庭を囲む回廊、茶目っ気溢れた展示を見たあとで
緑と風を感じながらボーっとしてしまいます。
シャープな鉄骨の丸柱(60Φ)やカマボコ天井、スッキリとしたシルエットの
腰掛、スッとたつ桂の木など空間が締まっていてチャペルのような静謐な雰囲
気も漂っています。
腰掛の幅はなんと18㎝で座面高さが少し高い50㎝、こんな寸法でも十分休める
のだなぁ・・と早速スケッチしました。

好文さんの遊び心と静謐さ両方を味わえる素敵な建築でした。


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手描きスケッチ2人の建築家
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2018.8.9

ono設計室は明日8月10日(金)~14日(火)までお盆休みを頂きます。
気になっていた建築を見る旅に出てきます(笑)
皆さんも暑い日が続きそうですがゆっくりとお過ごし下さい!


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その他
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2018.8.6

建築家、益子義弘さんの本。
場所や空間のなりたちを丁寧に読み解き「今生きる人の場の
適合のありかを探す」という益子さんの設計のスタンス。
上野の芸大のキャンパスにバルザックの彫刻が据えられた時
に場所一体の見え方感じ方が新鮮なに変わったという文章や、
イランの閉鎖的な住まいのつくりは気候だけでなく、人が広漠
とした荒野に対する精神的な恐怖や恐れ、不安を解くかたちな
のではないかという指摘、
益子さんのまなざしは「その土地がどのようななりたちをしているのか、
そしてその中で建築が人の場所の経験に寄与できることはなにか・・」
という深く本質的なところまで潜っていきます。
益子さんの建物に入った時に感じるやさしく清廉な雰囲気はこのような
設計姿勢から生まれているのだなぁ・・と感じ入りました。


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2018.8.1

パターンランゲージで有名なC・アレグザンダーが「デザインという問題」に
いかに取り組んできたかを追った本。
アレグザンダーはざっくり言えば「良いデザインを生み出す方程式」をつくり
そこに与条件を当てはめてゆけば良い形が解として導き出せると考えた人。
しかし完璧かと思われた「パターンランゲージ」という手法は実務ではうまく
機能する事ができず、言葉を使った「抽象的な思考」に限界を感じ最終的には
「神」の存在へと行きつきます。


アルハンブラ宮殿プラン


ドミニコ会修道院プラン

「神」などと言われるとひいてしまいますが(笑)その思考の過程で発見された
「サブシンメトリー」という構造はとても説得力があり今でも有効なものと感
じました。アルハンブラ宮殿、桂離宮にみられるような生き生きとした調和、
ルイス・カーンのドミニコ会修道院やウッツオンのマヨルカ島の家のプランに
も同じような意思を感じます。
「デザイン」というとても難しい問題に真っ向から取り組んだ巨人の足跡、
ほぼ哲学の領域ですが楽しく読ませて頂きました!


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