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2020.4.10

石工を経てパリの屋根裏部屋でカルトと呼ばれる手札を
書き続けたロベール・クートラス。
繊細で、小心で、子供のようにはにかみ、疑い深く、
みんなに愛されたいと願っている。
クートラスの絵を見ていると、
ちいさい頃にいつも持ち歩いていた毛布の手触りや、
宝箱にこっそりしまっていた美しい鳥の羽の様子。
雨の日のえんがわのしん、とした空気
いろいろな古い記憶が呼び起こされて来ます。

クートラスのカルトにはそういった記憶や夢想を
呼び起こす不思議な力があると思います。

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2020.3.24

スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャッツビー」
村上春樹さんの翻訳ですんなりと気持ちよく読み進む事ができました。
小説の中で主人公が帰郷して、故郷の空気をすい込む場面があります。

「・・僕らはその息吹を深々と胸に吸い込み、
自分たちがこの地方に生を享けた人間なのだという事を、
言葉としてではなく、
肌身にひしひしと感じる事になる。」

僕も学生時代暮らしていた北海道から、実家のある千葉に帰郷し地元の駅に
着いた時にまさにこの文章のように感じていました。
空気のあたたかさ、湿気、匂い、生理的に生まれた場所に戻った事を感じました。
小説を読んでいると自分の記憶を思い起こされる事も多く、
読書の楽しさを体感します。

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2020.3.13

サミュエルベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」
学生の頃に緒形拳さんが舞台をやっていて、どんな話なのだろう・・・
と気になっていた本です。
「来たるべきものの不在の物語」

ベケットのそぎ落とした彫刻のような顔と鋭い眼、
ヒリヒリとする「本質」をぐっと目の前に突き出されるような
そんな本でした。

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2020.3.9

串田孫一さんのエッセイ集「山のパンセ」
平明で素直な文章、読んでいて心がすっと落ち着きます。

「山は動けない。寝返りも打てないし、もちろん前進も出来ない。
山は逃げ出すことがない。それで私たちは安心し切って登る。
もし急に山が立ち上がったら・・・、そんなことは誰も考えない
で、登ったり、落ちたり、死んだりする。
どんなに自分勝手な人間でも、山から落ちて、山が悪いのだとは言わない。」

山という大いなるものに潜り込み、自分の存在を打ちつける事で
串田さんは安心を得ていたのかもしれませんね。

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2020.2.5

トールマン・カポーティの「ティファニーで朝食を」
オードリーヘップバーン主演の映画を見た事があったので
すが原作は初めて。
自由闊達な女の子ホリー・ゴライトリーが映画の役よりも
明け透けで、クールで、残酷でとても魅力的でした。

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2020.1.11

奥村昭雄さんの本「空気・熱の動きをデザインする」
OMソーラーの前身となるポット式石油ストーブ、煙道を使った
空気循環システムがとても魅力的でした。
ファンを使って2重煙突の隙間から床下に温風を引き戻す仕組み、
なんと床下には加湿用の水盤と蛇口が付いています。
難しい装置はないのである意味ローテク、頭できちんと理解できます。
「なるほど~~」とワクワクしてしまう本です(^^)

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2020.1.6

ono設計室は今日からしごと始め。
お正月休みはよく食べ、よく眠り、よく本を読みました。
本を何冊か読んだのですがとにかく面白かったのがジャック・ロンドン
の「火を熾す」
極限状態での人の精神の動きを、無駄のない岩のような文体で描いて
おり一瞬でぐっと惹き込まれてしまいます。
しんとした部屋で本を捲っていると、こうした時間が自分には大切な
ものなのだなぁ・・とあらためて感じました。

さあ今日からまた設計の喜びを感じながら、誠実に仕事に励んでゆきます。
今年も宜しくお願いします。

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2019.12.27

スイスの建築家、ピーター・ズンドーの建築を巡る文集。
視覚的でなく、空気、匂い、陰り、手触り、記憶など五感
で建築をなぞろうとする文です。
住宅設計に従事する者として良いなぁ、と思った文章

「思うに、建築はまずもってメッセージでもなければ
 サインでもないのだ。
 そこで営まれる生を包む殻であり、背景である。
 床をすすむ歩みのリズムのため、
 仕事に集中するため、
 眠りの静けさのための、繊細な容器なのだ。」

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2019.12.23

ポール・オースターの本「孤独の発明」
学生の頃、旅先のイスタンブールの安宿で貪るように読んだ
のを覚えています。
オースターは先日紹介した映画「スモーク」の原作者でも
あるのですが、父と息子の関係を描いたものが多いような
気がします。
独特の世界観で一気に惹きこまれるので、時間のとれる
休日におすすめです。

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2019.11.29

「コミさん」の愛称で親しまれた作家、田中小実昌さんのエッセイ集。
映画とバスと、場末の飲み屋街を愛するコミさん。
思わせぶりなところのない、淡々とした文章の中に、はみ出してしまった
人々や、無用の物に対する愛情のようなものを感じます。
休日にビールを飲みながら、のんびりと読みふけってしまいました(^^)

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