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弘前建築巡り「弘前市斎場」
2018.4.6

前川國男、最晩年の建築「弘前市斎場」
敷地西側の「岩木山」「杉山」東側へ広がる「りんご畑」と建物の関
係がしっくりと納まっています。

弘前公園からてくてくと歩いて行ったのですが斎場へのアプローチが
素晴らしい、一直線の道を進んで行くと右手に突然広場がパッと現われ
その先に雄大な「岩木山」の姿を眺める事ができます。
親しい人の死に対して戸惑う心が岩木山の雄大な姿を見ることで落ち着
き慰められる事でしょう。
また道がゆったりとした下り坂になっている事で、自然に斎場へ向けて
歩を進める事ができます。

この斎場へのアプローチを進んでいる時に思い出したのが北欧の建築家
アスプルンドの「森の火斎場」、前川さんの斎場と比較すると
「岩木山」→「右手にみえてくる小高い丘」
「ゆっくりとした下り坂」 → 「ゆったりとした上り坂」
というようにアプローチの情景が似ているように思えます、どちらも人
の心に寄り添った素晴らしいアプローチです。

坂を下ると深い屋根の掛かった車寄せが見えてきます、軒裏を見上げると
重厚なコンクリートの格子梁がどうぞと迎え入れてくれるよう。

建物の内部は岩木山のある西側へ「焼き場」りんご畑のある東側へ「待合」
その二つのブロックを渡り廊下で結ぶという構成になっています。
黄泉の国(焼き場)と俗世(待合)を橋(渡り廊下)で結ぶという設計意図です。

待合(俗世)

二つの世界を結ぶ橋(渡り廊下)

焼き場(黄泉の国)

炉前ホールは薄暗い空間で、トーンの低いザラッとした仕上げとな
っています。
このザラリとした壁面にトップライトから美しい光が落ちてくる様
子は中世の教会の内部のよう。

斎場はまさに人の生死に関わる場所、杉山に抱かれた控えめな外観
とずしりと落ち着いた素材で囲まれた室内 そして遠くに望む雄大
な岩木山の姿、敷地と人の心を丁寧に読み解いた素晴らしい建築で
した。


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手描きスケッチその他
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