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ピーター・ライス自伝
2017.12.27

パリの「ポンピドゥーセンター」、オーストラリアの「シドニーのオペラハウス」
などの錚々たる建物に関わった構造エンジニア、ピーターライスの本。
ピーターはエンジニアの役割について次のように語っています。

「建物に使われた素材の本当の存在感を見せるために、素材や構造の知識を使う
のだ、そうする事によって、(建物が「感覚的」になり)人々はその建物に親近
感を持ち、触れたくなり、素材の感覚を味わったり、それを建てた人物のありさ
まを感じたくなる。」

「ある建物を「感覚的」なものにするには、人々がその建物に関わったという証
拠を残すことなのだ。」

また建物が「感覚的」であることで生まれる「存在感」については

「存在感というのは、人間とその建物を過去につなぐものなのだ。動物も、先に
通った動物の跡をつけ、新しい場所を探すことで、自分自身を確かめている。そ
こをかつて占有していたものの臭いを嗅ぎだすのだ。」

つまりエンジニアは素材を素直に表現する事で建物を「感覚的」にし、産業によ
って断絶してしまった建物と人々の関係をつなぎなおす。
そして建物の「存在感」によって人間と建物を過去につなぎ、そのつながりによ
って人間は自分の存在を確かめ安心する事ができる、という事でしょうか。

なんだかとても深い話ですね。
自分の通った小学校の校舎や祖母の家を久しぶりに訪れた時、目に入るそれぞれ
の場所の視覚的な情報と共に
「ここでこんなことしたなぁ~・・」とか
「庭にこんな木が植わってたよなぁ~・・」
という当時の記憶、や物語、匂いのようなものが同時に湧き上がっくる経験は誰
もがあると思います。
そうした「ノスタルジー」のような感覚は、今自分がここに存在することを肯定
し、慰めとなる「暖炉の火」のようなものかもしれませんね。
建築の本質的な役割として、「建物と人を過去につなぎ、人と時間の大きな流れ
のつながりを感じさせる」という事があるという事、
お寺やお墓参りにいくとなぜか安心するのも腑に落ちました(笑)
この「時間」「記憶」というものは、住宅を設計する上でもとても大切な要素、
ゆめゆめ忘れる事のないよう仕事に励みます!


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