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2017.10.14

松山巌さんが多くの人達、特に建築を学び始めた若い人にもっと建築
について考えて欲しい、という思いから書かれた本。
この本の中には何度も

「あなたが好きだ、気持ち良いと感じる場所」

というフレーズが出てきます、そしてその後に

「もっと具体的に考えてみよう・・
 明るい場所か、薄暗いところか。
 緑の多いところか、荒れ果てたところか。
 人の多いところか、人の少ない場所か。
 天井が高かったか、低かったか。
 音が響いていたか、どのような音か。」

「さあ、ゆっくり思い出して。
 さあゆっくり考えて。」

と読者に問いかけます。これは
「俯瞰的な目線で合理性や経済性をもとに建築を考えるのではなく、
まずは一生活者である「あなた」の目線で暮らしの記憶などを思い出
しそこから建築を考えてゆくんだよ」
という松山さんからのメッセージだと感じました。

建築家の中村好文さんもトークショーの質問コーナーで子供から

「おうちを考える時にまずなにから始めるのですか?」
というストレートな質問にたいして

「そうだな~~・・・
 まずその人達(クライアントさん)の事をかんがえるかなぁ~
 その家族がおうちの中でどんな事を感じながら暮らしていくか
 そんな事を想像するかなぁ~」

と答えていました。
建物を設計する上ではもちろん法規、予算、工期など現実的な課題が
ある訳ですが、まずは「ひとの思いに寄り添い、想像してみる」
好文さんらしいなぁ~~と嬉しくなりました。
地に足を付け、生活者の目線で想像力を駆使して建物がどうあるべき
か思いを巡らす。設計者としてゆめゆめ忘れてはならない事ですね!
何度も読み返したいと思うとても良い本でした。

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