茨城県五浦にある美術館、建築家 内藤廣さんの設計です。
内藤さんの建築は学生の頃から好きで、他に安曇野のちひろ美術館、牧野富太郎記念館、
京都の虎屋さんなど多くの素晴らしい建築を設計されています。
簡素な切妻の構造が多く、いわゆる奇抜さや新奇さとは縁のない誠実な建築です。
何度か講演を聴きに行ったのですが、分かりやすい言葉で訥々と話をされていたのが
印象的でした。建築家は自己満足の設計をするべきではなく大きなお金が費やされる仕事
なのだから建て主にすべてなぜその形なのか、高さなのかを明瞭に説明できなければなら
ない・・というような事をお話されていたと思います。
つまり誠実であれという事ですね。
内部は屋根を支えるトラス状のPCコンクリートの梁並んでいます。工期が極端に短い事も
あってプレキャストの工法を選択したとの事。
扉の周りのしっかりと太い枠の見せ方や地窓のプロポーションなど、内藤さんらしさが出
ています。
さらに内藤さんらしい納まり(笑) 設計者であればすっきりと箱型の外観にしたい!と
目をつぶってしまいがちなところも内藤さんはしっかりと庇を付けます、さらに足元には
地面にあたった雨だれが外壁を汚さないようにコンクリートの雨返しが!
庇のない水飲み場の外壁はやはり汚れが目立ちましたが、建築本体は上の写真のような工夫
でとても良い状態で維持されていました。あれだけ著名な建築家にもかかわらず必要なもの
は必要、ときちんと仕事をされる内藤さん、素敵です!