ブログ

2016.4.13

IMG_5605

俵屋旅館の魅力はなんといっても共用部にあると思います。
玄関を入ると目の前に坪庭がパっと開けます、1畳弱の板の間が張り出しており一脚の椅子が
しつらえてあります。座ってみるとじかに外の風を感じながら夜空を眺めることのできる室内
と室外のあいのこのような不思な空間、とても気持の良い場所でした。

IMG_5589

IMG_5682

IMG_5678

坪庭の奥にはラウンジスペースがあり雛飾りがしつらえてありました、そこをさらに奥へ進む
と和紙でくるまれた繭玉のような図書室が、あたたかくほんわりとした明るさの部屋にいると
心地良い眠気がおそってきます・・ 低い地窓からは庭を望む事が出来ます。

IMG_5586

眠気を振り払って(笑)客室へ向かうと通路の横に外部とツーツーの開口部が!ガラスも雨戸も
ありません。なんとも不思議な感じ、聞いてみると台風の時もこのままだとか、
俵屋には外と内の入り混じった不思議な場所がたくさんあります。

IMG_5577

IMG_5581

さらに通路をすすむと脇にこれまた不思議なスペースが、躙り口のような入口を一段さがると
「庭座」とよばれるスペースがあります。床の高さと庭の高さが同じ、ガラス一枚で仕切られて
いてガラスと床モルタルをシーリング止めという納まり、コーナー柱の足元は隅きりして草の
ポットをはめこみ外部の草が内部にもつづいているように見せるというこだわりよう。
すごいの一言です!

20160411_638

スケッチを描いてみると坪庭を取り巻くようにさまざまなコーナーが配置されているのが分かります。
・程よい大きさ(ヒューマンスケール)
・うす暗い部屋に低いオレンジの照明
・穴倉に隠れるかのような部屋の入り方
・和紙、瓦敷き、土壁など本物のやさしい目ざわりの素材
・高さを低く抑えた椅子、テーブルなどの家具
あたりが居心地の良さの秘密か・・・と考えました、まだまだ奥が深そうです。

Category
京都・奈良吉村 順三建築探訪手描きスケッチ
Tag
2016.4.11

IMG_5534

中村好文さんの本「意中の建築」を読んで以来ずーっと気になっていた京都
俵屋旅館さんへ行ってきました。

IMG_5542

俵屋には全部で18の部屋がありますが今回宿泊したのは新館の1階にある「竹泉の間」
設計は吉村順三さんです。

IMG_5550

IMG_5683

掘り炬燵式の座卓があり、雪見障子越しに専用の坪庭を眺めることができます。
庭の奥行は1間半、これくらいの奥行があればこんな雰囲気の良い庭がつくれる
のですね。

IMG_5547

IMG_5548

しつらいも良い感じ、旅館全体に言える事ですがいわゆる老舗日本旅館!という
感じではなく古くからの雰囲気のなかに斬新なインテリア・デザインが共存して
いてお互いに引きたてあっているという感じ。
そしてどこにいても居心地が良いです。

IMG_5557

IMG_5559

お風呂もけして広くはありませんが高野槙の良い匂いのする
浴槽、洗面所の床はコルクタイル敷き。
木やコルクなど人肌にやさしい素材につつまれると気持ちが
ほっこりします。普通のホテルでは水廻りはユニットバストイレ
のFRP製品、もちろんメンテナンス上致し方ないのでしょうが
水廻りの心地良さはそのまま宿泊体験のここちよさに直結するの
だなぁ~と実感することができました。

俵屋プラン

もちろん実測スケッチも忘れません。
他にも障子の見込み寸法や家具の高さなど気になる寸法が多すぎて
へとへとになりました(笑)

Category
京都・奈良吉村 順三建築探訪手描きスケッチ
Tag
2016.4.6

IMG_5434

三井ガーデンホテル新町別邸、造園家 荻野寿也さんが作庭した中庭があります。

IMG_5428

IMG_5476

エントランスを抜けロビーにはいると正面にドーンと庭があります。
下からのアッパーライトではなく上から月明かりのように樹木を照らす光、
背面の白い壁で揺れる樹の影がとても美しいです。

IMG_5493

IMG_5501

客室も縦繁のきれいな障子や断熱のためのロールスクリーンなど、細やかな工夫が
各所になされていました。

別邸中庭

別邸客室

中庭と客室の実測スケッチ、3間の奥行があればあんなダイナミックな庭をつくれるのですね!
とても見どころの多いホテルでスケッチ疲れしました(笑)

Category
ホテル実測京都・奈良手描きスケッチ
Tag
2016.4.4

IMG_5438

IMG_5440

IMG_5443

IMG_5450

京都に行くとついつい寄ってしまうイノダコヒー本店、常連でもないのに妙に
落ち着いてしまいます。
長年人々に愛される中でかもし出されてきた建物の空気感なのかもしれませんね。

Category
京都・奈良
Tag
2016.4.1

IMG_5702

IMG_5709

京都下賀茂神社近くに復元されている鴨長明の「方丈庵」を見てきました。
1丈(3m)四方の小屋で非常に簡素な建物ですがが可動式ユニット組み立て
方式のかなりおもしろい工夫がされています。
第一印象はやはり物置小屋のようなイメージで自分が住めるかといわれれば???
ですが、真ん中に切られた炉に火が入り楽器の好きだった長明の琵琶の音が流れて
いればがぜん住処としての雰囲気がぐっとでてきそうです。
もう一度「方丈記」読んでみたくなりました。

Category
京都・奈良
Tag
2016.3.24

月末に結婚10周年を記念して(厳密には11年目なのですが)念願の
「俵屋旅館」に宿泊する予定をたてています。
俵屋さんは京都を代表する老舗旅館で、増築部分、新館は建築家の吉村順三
さんの設計によるもの。
設計者にとっては有名な憧れの建物、多分チェックインしたらチェックア
ウトするまで宿から離れられないのではないか・・(笑)と思っています。

俵屋2

俵屋3

俵屋4

中村好文さんの「意中の建築(上)」にのっている「俵屋旅館」のプランをトレースして
予習はバッチリ、奥さんに引かれない程度に(笑)実測に励んでこようと思います!

Category
その他京都・奈良吉村 順三建築探訪手描きスケッチ
Tag
2015.10.21

IMG_2823

IMG_2851

京都 左京区にある「蓮華寺」東には高野川が流れ北には比叡山を望む立地

IMG_2827

低い楓の葉のアーチを潜り抜けてゆくアプローチ

IMG_2834

IMG_2842

建物の中にはいると上の写真のような庭がぱっと視界に開けます。
建物は完全な一間グリットの単純な架構、柱と梁が庭を額縁のように
切り取っていて庭を眺めるための装置のようです。

20151021_504

同じアングルでスケッチを描いてみました、
薄暗い室内から庭を眺めていると、太陽光の変化によって明暗入れ替わる
庭の表情、吹き放ちの縁側からふんわり入ってくる風、サラサラと流れる
水の音。
五感で味わえる絵を鑑賞しているようでした。

IMG_2843

入口の脇にある土蔵の蔵、土壁の表情がやさしくていいです。
市内から離れているため人も少なく、のんびりお寺の庭を眺めたい
時にはお勧めの場所ですね。

Category
京都・奈良手描きスケッチ
Tag
2014.11.4

IMG_9797

京都にある有名な本屋さん「恵文社」、なかなか行きづらい場所にあるのに
たくさんの人々が脚を運んでいます。

IMG_9801

「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」が恵文社さんの方針、本だけ
でなく、雑貨、CDなどいろいろなものが並んでいます。
置いてある本は本当に独特でおもしろい本ばかり、本をセレクトした店員さん
の「これおもしろいですよ~」という熱意が伝わってきます。
本のむこうに店員さんの顔が見える(笑)本屋さん、「恵文社」22時までOPEN
してるので近くに行った際はぜひおすすめです!

Category
カフェ・雑貨・お店京都・奈良
Tag
2014.10.31

IMG_9689

出張などで京都駅に着いたのだけどどこか気軽によれるお寺は?なんて時あります
よね・・ないですかね(笑) まあそんな時のおすすめは駅の南側へある東寺。
京都を観光すると大抵の人は駅の北側、祇園や金閣寺、二条城などへ向かうの
で意外に見過ごされているお寺だと思います。
駅から歩いていくと五重塔に美しいシルエットが見えてきます。

IMG_9701

近くから仰ぎ見るとまるでステルス戦闘機が隊列をなしているよう、
古い建築ですが見方によってはこんなにアバンギャルドな形はありません。

IMG_9692

金堂、威風堂々とした佇まいの建物も素晴らしいですが、内部に置かれている
薬師如来、日光菩薩、月光菩薩の仏像は本当に素晴らしいです。

IMG_9704

同じ境内にある大師堂、弘法大師空海が住んでいた所。
ゆったりとした入母屋造り、檜皮葺の屋根がなんとも良いです。

IMG_9683

東寺の境内から少し離れたところにある勧智院、特別公開の時しか拝観出来ませんが
奥にある茶室「楓泉観」のこじんまりとしたスケール感や内部と外部が溶け合った
ような室内空間は必見です。

Category
京都・奈良
Tag
2014.10.20

IMG_9876

三大茶人の最後を飾るのが小堀遠州、古田織部の弟子にあたります。
豊臣秀長、徳川家康に仕えた大名、父、新介の後を継ぎ、建築、造園にすぐれた
才能を表し江戸、寛永時代のデザインをリードする大名となります。

IMG_9878

遠州を色で表すと「白」
遠州の好みは「綺麗さび」と呼ばれ、明るく開放的で洗練された美しさが特徴です。

IMG_9868

IMG_9872

京都、大徳寺にある孤蓬庵「忘栓」、建物を水に浮かんだ一艘の船に見立て、まるで舟旅をするか
のように意図して作られたとの事。
先日何年ぶりかで特別拝観があり行って来たのですが、やはりなんとも素晴らしい建物と庭で2日
で3回も脚を運んでしまいました。(笑)
下の写真は忘栓の手前座からみた庭の風景で、上半分を明かり障子とすることで水面に浮かぶ屋形
船のような雰囲気、庭からは障子超しにやわらかい光は室内に入ってきてます。
当時は天井が砂摺りで真っ白になっており、さらに室内がほんわりと明るかったという事です。

IMG_9875

利休や織部が自分の個としての美学を追及したのに対し、遠州は常に相手へのもてなしを考えてい
たようです。戦乱の世の中に生きた利休、織部の美意識と江戸の太平の世を生きた遠州。やはり時
代というのもデザインにとって大きな要素なのですね。
遠州は桂離宮、二条城、仙洞御所、南禅寺などの数多くの作庭に関わっており、京都に行った際は
遠州茶室、庭巡りツアー!などお勧めです。

Category
京都・奈良
Tag