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2018.2.16

ルイスカーンの事務所でスタッフとして働いていた工藤国雄さんの本。
カーンというと、その哲学的な言葉遣いからどこか神秘的な建築家という
イメージがありますが、この本では工藤さんの視点から見た生身のカーンを
感じることができます。

時にスタッフにあたりちらし、ほぼ完成に近い計画を嬉々として白紙に戻し
決して妥協せず混沌を愛し最後まで戦い抜く。
フィッシャー邸やエシェリック邸の珠玉のような佇まい、そこにたどり着く
までにこれほどまでにもがき、これではダメだ!と叫び続けたカーンの姿
があったのだなぁ・・とただただ圧倒されました。


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2018.2.2

映画「人生フルーツ」のつばたさんご夫婦の本、つばたさん
が直接語り掛けてくるかのような温かい本でした。
とても穏やかなお二人ですが
「自分のことは自分でやる」
「人に依りかからずに生きたい」
という言葉が何度も出てきます、安易に世の中の事を信じず
に、自分でやってみて自分がどう感じたか、その感性に従っ
て生きてゆく。
芯の通った自分の哲学を持ったお二人だからこそ背筋のスッ
と伸びたような清冽な住まいの気配が生まれているのだなぁ
と感じました。
映画を見た人にもお勧めの本です。


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2018.1.23

久しぶりに柳宗理さんの書いたエッセイを読みなおしました。
柳さんは良いデザインの条件として
・機能 ・テクノロジー ・良い材料 ・大量生産 ・合理性
を上げています、面白いのが工業技術や大量生産を積極的に
活用して行くべきとしているところ。
”売らんか主義”のデザインを批判する一方で、伝統の安易な模倣
もすべきでないと警告しています。
その土地で、今日の技術で、適切な材料を使って、用途のために
真摯につくれば必然的な形が生まれる。
これはそのまま建築設計に置き換える事のできる箴言ですね、
心に留めて仕事をしてゆきたいです。


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その他
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2018.1.20

益子の古本屋さんで偶然見つけたハンス・ウェグナーの本、
ウェグナーの椅子が写真・面図で詳細に説明されています。

この本のなかで「家具に裏面があってはならない」という
ウェグナーのポリシーが書いてあり、
建築家のルイスカーンが設計した家の電力メーターを付ける
位置について電気屋さんと口論になり、裏側でどうだと言う
電気屋さんに対して
「この家に、裏なんてないんだ!」と言い放ったというエピ
ソードを思い出しました。
やはり巨匠は作品にかける愛情が半端ない(笑)のですね。

古本屋さんで偶然こんな本と出合えるととても幸せな気持ち
になります、大切に読み込んでゆきたいと思います。


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2018.1.12

建築家の内藤廣さんが本のなかで紹介していたスーザン・ソン
タグの本を読んでみました。
内容を正確に理解できたかといわれると怪しいですが、彼女の
世界に身を投げ出して体そのものから発せられるような言葉を
読むと、嘘のない真正面で受け止めてくれるような存在感にホ
ッとします。
自分の中にない言葉は決して発しないし、何事にも真正面から
受けてたとうとする。その真剣さ、あたたかさは本を通してで
もスっと伝わって来ます。
内容は深く理解したとは言えないけれど著者の体温のようなもの
をしっかりと感じる(笑)なんだか不思議な読書体験でした。


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2017.12.27

パリの「ポンピドゥーセンター」、オーストラリアの「シドニーのオペラハウス」
などの錚々たる建物に関わった構造エンジニア、ピーターライスの本。
ピーターはエンジニアの役割について次のように語っています。

「建物に使われた素材の本当の存在感を見せるために、素材や構造の知識を使う
のだ、そうする事によって、(建物が「感覚的」になり)人々はその建物に親近
感を持ち、触れたくなり、素材の感覚を味わったり、それを建てた人物のありさ
まを感じたくなる。」

「ある建物を「感覚的」なものにするには、人々がその建物に関わったという証
拠を残すことなのだ。」

また建物が「感覚的」であることで生まれる「存在感」については

「存在感というのは、人間とその建物を過去につなぐものなのだ。動物も、先に
通った動物の跡をつけ、新しい場所を探すことで、自分自身を確かめている。そ
こをかつて占有していたものの臭いを嗅ぎだすのだ。」

つまりエンジニアは素材を素直に表現する事で建物を「感覚的」にし、産業によ
って断絶してしまった建物と人々の関係をつなぎなおす。
そして建物の「存在感」によって人間と建物を過去につなぎ、そのつながりによ
って人間は自分の存在を確かめ安心する事ができる、という事でしょうか。

なんだかとても深い話ですね。
自分の通った小学校の校舎や祖母の家を久しぶりに訪れた時、目に入るそれぞれ
の場所の視覚的な情報と共に
「ここでこんなことしたなぁ~・・」とか
「庭にこんな木が植わってたよなぁ~・・」
という当時の記憶、や物語、匂いのようなものが同時に湧き上がっくる経験は誰
もがあると思います。
そうした「ノスタルジー」のような感覚は、今自分がここに存在することを肯定
し、慰めとなる「暖炉の火」のようなものかもしれませんね。
建築の本質的な役割として、「建物と人を過去につなぎ、人と時間の大きな流れ
のつながりを感じさせる」という事があるという事、
お寺やお墓参りにいくとなぜか安心するのも腑に落ちました(笑)
この「時間」「記憶」というものは、住宅を設計する上でもとても大切な要素、
ゆめゆめ忘れる事のないよう仕事に励みます!


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2017.12.12

デンマークの首都コパンハーゲン北部に建つルイジアナ現代美術館、
この本は美術館へ行った時にショップで買い求めたもの、本を開く
と美術館がどのような経緯で建てられたのか美しい写真とともに詳
細に書いてあります。
はじめてこの美術館を訪れた時になにか懐かしいようなくつろぐよ
うな気持ちになったのを憶えているのですが、本を読んで少し納得。
建物の設計者はヨルゲン・ボーとヴィルヘルム・ヴォラートという
建築家ですが、二人が影響を受けたのがフランクロイド・ライトや
ルドルフ・シンドラーの住宅だったとの事。
ライトもシンドラーも日本の影響を強く受けた建築家で、ルイジア
ナ美術館のスケールの低さや水平方向に流れる動線などにも日本の
木造建築の影響が表れています。
一人でひょっこり訪ねた日本人として思わず「つながってるなぁ~~」
とつぶやいてしまいました(笑)

今回で二度目の訪問でしたが何度来ても飽きずに一日過ごせる美術館、
日本でいえば京都のような場所です。
JRではありませんが「そうだ、ルイジアナへいこう!!」
と行きたくなってしまう場所、もう少し近いと良いのだけれど・・・


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北欧
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2017.11.22

H.G.ウェルズの「世界史概観」を読みました。
学生の頃から世界史は苦手でした、日本史の本は流れを追って理解しやすいので
すが世界史の本は違う場所の歴史が平行して進んで行くため頭がぐしゃぐしゃに
(笑) 先日読んだ建築家、内藤廣さんの本にこの本がお勧めと書いてあったので
苦手意識を抑えつつさっそく読み始めました。
SF作家でもあるウェルズの文章は教科書などに比べるととても読みやすく、独自
の視点でかかれているのでおもしろいです。
例えば「産業革命」について、「労働者と雇用者といった構造的な変化はさして
重要ではなく、蒸気機関という技術とそれによってもたらされた大陸間の移動時
間の飛躍的な短縮が世界に及ぼした変化は計り知れない」
というような事を述べています、目からウロコです。
ただやはり文字の羅列なので一気に読むのはなかなか大変。

そこで一緒に読んだのがこの「イラストでわかる図解世界史」、ヴィジュアルで
見る事ができるため直感的に理解できます。
教科書的なものが苦手な方にお勧め(笑)
この2冊を読んで少しは世界史への苦手意識を克服することができたような気が
します。
この本をベースに建築史や美術史を読めばまた楽しそうです!


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2017.11.13

アメリカの建築家、フランク・O・ゲーリーの本を読みました、
内容はゲーリーの生い立ちや、プロジェクトについて考えていた事
がインタビュー形式でじつにフランクに書かれています。
ゲーリーの代表作といえば「ビルバオのグッケンハイム美術館」
チタンで覆われたうねるような外壁面は誰もがアッと驚く建築。
このような建物を実現できる人なのだから、自分のエゴを振りまく(笑)
押しの強い切れ者建築家!というイメージを持っていました。

ところがこの本を読んでゲーリーのイメージがだいぶん変わりました、
過去の物件の雨漏れなどについて質問が及ぶと明らかに動揺してがっくり
きている様子や、インタビューの途中で突然黙り込み
「ぼくが死んだら、思ったよりもいい奴だったと気づいてもらえるだろうか」
と発言してみたり、まるでウディ・アレンのよう。
”気難しがりのちょっとかわったマイペースな男の子”(笑)といったイメージ、
こういったゲーリーのパーソナリティーが理解できると”ぶっとんでる建築”
のイメージがスッと消え、ゲーリーの持つ愛らしさやユーモアが見えて来ます。
写真のイメージが圧倒的過ぎてあまり好きになれなかった建築家でしたが実作
をぜひとも見たくなりました!


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2017.11.1

伊礼さんの新しい本、「住宅設計作法Ⅱ」
前作「住宅設計作法」は独立したての時にノートに全部丸写しした(笑)
思い出深い本。
今回の本もけっこう厚みがあるのですが、伊礼さんの語りかけるような
文章とシンプルできれいなレイアウトに惹きこまれ、1時間半ほどで読
みきってしまいました。

興味深かったのは
「土地をみて最初に描くエスキスのポイントは?」
との問いに対して
「棋士の羽生善治さんが最初に直感で3手くらいに絞るように、設計も
敷地を見たときこんな組み立てかな?といくつかの方向に絞っている。
何度も何度も、繰り返し繰り返し、いいものを見て(眼を養い)、飽
きるほど繰り返し、手を動かして(手を練り)、得られた「直感」が
エスキースに生きるのではないかと思います。」
と答えられているところ。
「直感」は地道な修練によって磨かれてゆくものなのですね、僕も手を
練って設計力を磨き上げて行きたいです!


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