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2022.8.18

みなさんお盆休みはゆっくりされたでしょうか。
僕は計画中の図面をまとめるために事務所に籠っておりました。
良くないなぁ・・とは思うのですが、休み中は電話連絡も少なく集中して
図面を描けるため、ついつい事務所へ脚を運んでしまいます。(^^ゞ

さてこちらは設計中の住宅の暖炉廻りのスケッチ。
初めてのビルトイン式の暖炉という事もあり、
給気の取り方、暖炉廻りの壁下地のつくり方、本体と周囲の離隔距離、
メンテナンス時の点検方法、などなど
いざ図面を描いていると様々な検討事項が浮かび上がってきます。
2次元の平面図や展開図だとどこがポイントかなかなか把握できないのですが
3次元のスケッチパースを描くと総合的に何を検討すべきか、自分のなかで
整理する事ができるようになります。

あたらしい事をする時は一つ一つコツコツを積み上げていくので物凄く
手間と時間がかるのですが、納まりが見えて来た時は自分の設計技術が
ブラッシュアップされた実感があり、大変だけど楽しい職業だなぁ・・
とあらためて感じます。
近道はなし(あったとしても後でトラブルに(笑))引き続きコツコツと
丁寧に図面を紡いてゆこうと思います。

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手描きスケッチ
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2022.7.27

プランを練っている時に、殴り書きでも良いので外観パースと内観パースを
同時に描くようにしています。

外からは視線の抜けを良くしたいので窓を大きくしたい、でも内部からは
壁が少なくて空間に落ち着きがないなぁ~!
などと心の中で呟きながら(実際に呟くと危ない人と思われるので)内外の
一番良いバランスを探ります。
とても難しく大切な作業ですが、パースを描きながら「窓台はやはり750mm!」
などと(心の中で)呟きながら検討を重ねるのは設計者にとって幸せな時間です。
迷ったらまず描いてみる、手を練る、これが基本となる大切な作法です。

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手描きスケッチ
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2022.6.30

専門学校でたまに学生さんへ”建築かわら版”を配ります。
今回は学校の廻りの美味しいお店や、雰囲気の良い喫茶店。
いろんな空間を自分の体で味わう事で良い設計ができるはず・・・です。

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手描きスケッチ
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2022.5.23

「川縁の家」木塀の納まりをスケッチで検討。
意匠・コスト・メンテナンス、色々な面を考慮しながら鉛筆で描いては
消して、また描いて・・・(笑)どう作ったら良いか考えます。
現場では平面的な図面よりも立体スケッチの方が伝わりやすい、
そして描いてる自分も楽しい。(^^ゞ
頭の中で考えた造形を紙面に立体で描いてみる、それを見てまた修正する
その積み重ねの先に理想的な”かたち”(おさまり)が見えて来るのです。

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川縁の家手描きスケッチ
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2022.2.28

ライトが80代の頃設計した「ジマーマン邸」
ご夫婦2人のための40坪ちょいのこじんまりとした住宅。
「ケニス・ローラン」邸もそうでしたがライト晩年の住宅は
飾り気がなく暮らしへの愛情が詰まっていて素敵です。

プランは1930年代のユーソニアンハウスが原型。
L字プランの「ジェイコブス邸」をパキッと直線に伸ばしたような構成。
玄関からのプライベートスペース、パブリックスペースへの振り分けや
ぐるりと走る回遊動線などとても暮らしやすそうな平面計画。
北側立面の穴あきブロックや、リビングの正方形のスイング窓などあらたな
試みも見られます。

切妻屋根の簡素でのびやかな立面。
落水荘のような大見得を切った建築も凄いですが、暮らすならこちらが良いですかね。(^^ゞ
・軒先を低く(地面より2100mm程)水平に走らせる。
・玄関ドアは壁面のプロポーションに埋もれないよう幅をとって。
・煙突はマッチ棒のように突き立てるのではなく壁として表現するべし。
など”ライトの流儀”で設計されています。
ちなみに「軒先を2100mm」は建築家、伊礼さんが「守谷の家」でやられていた
寸法。ライト、レーモンド、吉村さんと設計のスピリットのようなものが脈々
とつながっているのだなぁ、となんだか嬉しくなりました。

ライトを敬愛し、ライトの誕生日とクリスマスの年2回必ずメープルシロップを
送っていたというジマーマン夫妻。
それに対してライトは次のようなお礼の手紙を書いています。

「親愛なるジマーマン夫妻
メープルシロップは~いつものことながら~誕生日の最も甘い贈り物で、
ジマーマン夫妻の事を思い出させてくれる嬉しい贈り物でした。
ありがとうございます。
敬具 フランク・ロイド・ライト 1953年6月16日」

ライトとクライアントのあいだの深い絆を感じ取る事ができる良い手紙ですね。

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フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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2022.1.26

ヴィム・ヴェンダース監督の映画「パリ・テキサス」
あまや座さんで上映との事で脚を運んできました。

よれよれのスーツにキャップをかぶって荒野を彷徨い
歩く主人公、トラヴィスの姿から始まる映像。
どうしようもない、どうにもできない”何か”を抱えた
トラヴィスの空虚な表情にぐっと惹きこまれてしまいます。
はじめてこの映画を見たのは学生の頃、当時の自分の状況と重ね合わせながら
食い入るようにブラウン管を眺めていたのを覚えています。

好きな映画を劇場で見れるのは幸せな体験ですね。

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手描きスケッチ映画
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2022.1.17

ライトといえば「落水荘」
それくらい有名な住宅ですが、トレースするのはなぜかいつも後回しに。
というのもプランがスカッとせず、床のレベルもまちまち、
構造も複雑で建物の全体像がなかなか掴みづらいからです。
建築関係の人でも落水荘のプランがすんなり出てくる方は少ないのでは。

そこで今回はまず「落水荘」の構造を理解する事から始めてみました。
かなりざっくりと構造をとらえると
➀ 川べりの岩盤と垂直方向に4本のコンクリートの梁を打ち込む。(基礎はない)
➁ 川岸から遠い方向に煙突、設備を内包するコアとなる石積みの壁を立ち上げる。
➂ 梁と石積みの壁が建物の足腰となり、そこに抽斗を置くようにキャンチレバー
  した床面を積み上げてゆく。
応援団の旗持ちのようなイメージでしょうか(^^ゞ
基礎が無い、建物全体でキャンチレバーを支える
というかなり無理をした特殊な構造。
いいかえれば大胆で独創的、ライトにしか決断できない勇気ある建築です。

基本構造を理解した上で改めてプランをじっくりと。
4本の梁のラインと、コアとなる石積みの壁を目印として平面を見ると
全体の構成がすっきりと見えて来ます。

「落水荘」は唯一無二の建築ですが、
読み込んでゆくと「ロビー邸」のキャンチレバーのしくみを90°づつ
角度をずらしながら重ねた構成と捉える事も出来ます。
”暖炉”を中心に据え、そこから水平方向へ空間を伸ばしてゆく。
ライトの流儀は初期の頃から脈々と繋がっているのですね。

定期的に行う「名作住宅トレース」なにが良いかというと
トレースするために資料や写真、図面をなめるように眺める事。
なんとなく知っていると思っていた建築の構成、構造、デティールなど
あらためて発見、理解する事ができ”建築”がますます好きになります。
今後もコツコツ続けてゆこうと思います。

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フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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2021.10.6

ライトの中で一番好きな住宅「ケニス・ローラン邸」
車椅子のクライアントのために設計した住宅で、機能的にも意匠的にも
実に美しく解いています。
全て車椅子の目線から検討され、圧迫感が出ないよう家具の高さは目線
より下になるよう配慮されています。
ライト80歳頃の仕事ですが斬新なプランの裏側に、人の暮らしへの確か
な目線と愛情を感じます。

プランは円弧を重ね合わせて切り取った”フットボール”型プラン。
ガーデンルームからテラスへと繋がる円弧状の回遊動線が日々の
暮らしにどれほどの豊かさを生みだすか。
寝室や暖炉を眺めるソファコーナーはしっかりと壁に守られた
奥まった場所へ。
住む人の心に寄り添った、凛として優しい名作だと思います。

ガーデンルームからカーブした中庭を眺める楽しさ。
すっぽりと包まれたソファコーナーからはパチパチと燃える
炎と、ライトアップされた植栽を楽しむ事が出来ます。

一番良いな~ と感じたのが寝室の化粧台周りの設え。
車椅子の高さを考慮して窓と窓の間の鏡はカウンターまで下り、
本棚もちょうど手に取りやすい高となっています。
見慣れないバランスですがとても美しい壁面のプロポーション。
必要な機能をさりげなく美しく設える老建築家、カッコよすぎます。

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フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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2021.8.18

フランク・ロイド・ライトが事務所を開いて初めての仕事
「ウィンズロー邸」
この処女作から、
プレイリーハウス「ロビー邸」
ユーソニアンハウス「ジェイコブス邸」
と追ってゆくとライトの建築の変遷を理解する事ができます。

プランは矩形を分割したオーソドックスな構成ですが、半円形に突き出した
温室や八角形の階段室の塔など独特な造形感覚が表れています。

この住宅の一番の特徴はやはり安定感のある正面立面。
まだ流れるような「オープンプラン」も水平帯の「窓」
も見られませんが、
・軒の深いゆるい勾配屋根
・暖炉を中心とした平面
・水平ラインを意識した立面の構成
などその後のライトの手法の種となるものが随所に見られます。
また今見るとなんて事はない外観と感じるかもしれませんが、
当時周囲に建ち並んでいたのはチューダー様式やクイーン・アン様式
など装飾過多の住宅、この率直な外観を持つ「ウィンズロー邸」の出現
は鮮烈な印象を与えたと思います。

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フランク・ロイド・ライト手描きスケッチ
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2021.7.18

ヴィム・ヴェンダース監督「ベルリン天使の詩」
冒頭に読まれる詩が好きで、たまに観返したくなる映画です。

子供は子供だった頃
腕をブラブラさせ

小川は川になれ 川は河になれ
水たまりは海になれ と思った

子供は子供だった頃
自分が子供とは知らず
すべてに魂があり 魂はひとつと思った

子供は子供だった頃
なにも考えず 癖もなにもなく
あぐらをかいたり とびはねたり
小さな頭に 大きなつむじ
カメラを向けても知らぬ顔・・・

また刑事コロンボで有名なピーターフォークが
本人役で出演しているのですが、まさに元天使という雰囲気があり
素晴らしい役どころ、こんな天使がいたら安心してしまいすね。

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手描きスケッチ映画
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